峡南広域行政組合消防本部
山梨県の最南端に位置する峡南消防は、富士川町・市川三郷町・早川町・身延町・南部町の5町から構成されています。西に南アルプス、東に富士山を望み、豊かな自然に恵まれた峡南地域には、全国各地から訪れる観光客がたえません。
また山に魅了された登山家たちも多数訪れるこの地では、交通事故の救助から山岳の救助まで、その救助内容も多岐にわたります。峡南消防中部署の月例訓練を取材させていただきました。
平成23年10月20日木曜日、天気は晴れ時々曇り、気温25℃。 南アルプスの山々と富士・御坂山系に囲まれた自然豊かな環境に位置する峡南消防本部中部消防署の訓練場ではこの日、北部消防署・中部消防署・南分署の3消防署の救助隊員が集結する月例訓練が実施された。この月例訓練は資機材の使用方法や救助活動の手順確認、実災害での事例を参考に情報の共有化と意見交換を図ることを目的に毎月行われる。隊員はこの道十数年のベテラン隊員から就任一年目の新人隊員まで様々いる中、一刻を争う災害出動時には活動方針の確認のみとなるため、一部の隊員だけが活動している状況に陥らぬよう、この月例訓練で知識の統一、情報の共有化を図ることは重要な活動となる。

ここ峡南消防での救助要請は幹線道路での車両の交通事故等による救助活動が最も多いが、近年の登山ブームを背景に入山者が増えると同時に、山岳での事故による救助要請が年々増加している。この日の訓練は交通事故を想定した救助活動と、地震発生時における緊急時に、資機材を使用しないで瓦礫などの重量物を撤去することを想定した訓練が2チームに分かれて行われた。
重量物の撤去ではおよそ300㎏あるL字溝を身の回りにある物だけを使い人力のみで移動するという訓練が行われた。近年の大規模地震発生時における教訓から、資機材を持ち込むことが出来ない状況下でいかに身の回りにあるものを駆使して重量物を移動させるかが、大きな課題となる。瓦礫の中や山岳は「人で入り、人で出てくる」まさに人力のみである。隊長の指揮の下、周辺に落ちているであろう木をレールに設定し、丸い鉄パイプ2本をL字溝の下に敷き車輪代わりとする。設定完了の後、皆で声をかけあいながら目的地まで移動させる。状況確認と打ち合わせを何度も繰り返しながら訓練は進められた。


一方、交通事故想定訓練のチームは2台の乗用車が衝突し、車の下敷きとなった歩行者を救出するという訓練が行われた。エアーマット、油圧スプレッダー、レスキューブロック等を用いて救助スペースを確保する。「重量物の再落下を絶対にさせないこと」を基本に重量物の固定方法やスプレッダーの取扱い方、救出時におけるコツなどベテラン隊員による指導の下、細かな確認が何度も行われた。中には資機材をはじめて扱う隊員もいたが、スムーズな意思疎通がはかられ訓練は続けられた。




峡南消防では、警防、救助、救急の活動が兼務されているため、隊員にはあらゆる任務に対応できる実践力が求められる。
今回取材させていただいた訓練はもちろんのことビルからの落下やマンホールへの転落を想定した引揚救助訓練、ラフティング業者との連携で実施される水難救助訓練、そして実際に七面山や身延山に入山して行われる山岳救助訓練 このような一連の救助訓練をこなし、なおかつ救急隊としての救急知識の習得に余念がない。 雄大な山々に見守られながら淡々と実直に任務をこなす若き隊員達の姿が印象的だった。(2011.10.20)

峡南広域行政組合消防本部の皆さま、取材へのご協力ありがとうございました。