第46回 全国消防救助技術大会 仙台・宮城
全国各地の地区大会を突破した、
約1,000名の救助隊員が仙台・宮城に集結
平成29年8月23日(水)、気温約36度、湿度約55%晴れ時々曇りというコンディションのなか、宮城県宮城郡利府町宮城県総合運動公園において 第46回全国消防救助技術大会(以下全国救助大会)が開催されました。 全国47都道府県の地区大会を突破した精鋭達が一同に集結し頂点を目指しその卓越した消防技術を競いあいました。
大会のスローガンは「結~感謝そして未来へ~」。消防救助の基本である「結索~けっさく~(ロープ結び)」の結の字に「人と人、心と心の結びつきを大切にしていく」 という意味を込め、さらには、大会や会場企画等を通じて「震災時の支援に対する感謝」を伝え、「未来を切り開く仙台・宮城の姿」を 発信するという開催地の想いを表現しています(大会パンフレットより)。
ここ宮城・仙台会場は6年前の2011年に全国大会を開催する予定となっておりましたが同年3月11日にあの未曾有の東日本大震災が発生し今回の開催まで延期となっておりました。 故に復興しているからこそ実現できた今回の開催は開催地にとってもそして被災地の復興を願っていた私達にとっても大きな喜びでありました。 赤城工業では東日本大震災が発生した直後の2011年5月に仙台市若林消防署へお伺いし、被災地の救助隊員の方々を取材させていただいた経緯もあったため、今回の開催への喜びはひとしおでありました。 (「被災した隊員からのメッセージ」はこちらからご覧ください)
全国救助大会とは、救助技術の高度化に必要な基本的要素を練磨することを通じて、消防救助活動に不可欠な体力、精神力、技術力を養うとともに、 競い、学ぶことを通じて、他の模範となる消防救助隊員を育成し、消防に寄せる期待に力強くこたえることを目指し毎年開催されています。
札幌市消防局
鈴鹿市消防本部
常陸大宮市消防本部
大阪市消防局
佐久広域連合消防本部
横浜市消防局
2011年の開催予定から6年。
やっと実現された念願の全国救助大会「仙台・宮城開催」
午前9:00。会場の上空に2機のヘリコプターのプロペラ音が聞こえてきました。東日本大震災でも活躍した消防防災ヘリ「みやび」と「みやぎ」です。 両機が会場を訪れた観客を出迎えたところで今度は消防のサイレンと鐘の音が響き渡り開会式が始まりました。
大型ビジョンに東日本大震災の惨状と救助活動に従事する消防士の姿、そして復興してゆく宮城・仙台の姿が流れ最後に「結~感謝そして未来へ」の文字が 映し出されると会場から拍手が沸き起こりました。そして仙台市消防局長による「開会宣言」により全国救助大会は始まりました。
全国消防協会会長の村上研一氏が、6年前の開催予定が延期となりやっとこの日を迎えられたこと、 そして今回の会場であるこの宮城県総合運動公園が東日本大震災時の緊急援助隊活動拠点となっていたことにふれ、 「救助技術の進歩を思い切り発揮してほしい」と挨拶されました。
続いて仙台市長の挨拶、そして消防庁長官の祝辞と続いたあと、 従来の全国救助大会では始めての仙台市七郷中学校の生徒による「感謝のことば」が救助隊員に送られました。 震災当日、必死の思いで荒浜小学校に避難していたところを救助ヘリコプターで救助隊員に助けていただいたこと、 現在元気に生きていることができるのは救助隊員の方々のおかげであるということ、そして最後に「人の命を助けることができる救助隊員の方々をかっこいいと思います」と、 心のこもった感謝の言葉で締めくくられました。会場は感動の雰囲気に包まれ、この会場で開催される重要な意味を会場に居合わせた全員で共有したように思いました。
最後に仙台市消防局土田健一消防司令補による隊員宣誓が行われました。強く握った拳を胸にあて目をつむり、震災当時にいち早く全国から集結し、 救助活動に従事し沢山の人々の命を救ってくれた救助隊員の仲間達に「消防家族」という言葉を用いて感謝の気持ちを述べたあと、右手をまっすぐに空へかざし、隊員宣誓を高らかに宣言した姿がとても印象的でした。 (「被災した隊員からのメッセージ」はこちらからご覧ください)
隊員宣誓 仙台市消防局 土田健一消防司令補
安全確実性と所要時間を競いあう
全国救助大会で行う訓練は、陸上の部と水上の部に分かれており、それぞれの部に隊員ひとりひとりが基本的な技能を練磨する「基礎訓練」と、 隊員個人の技能とともに隊員間の連携を練磨する「連携訓練」、さらに使用する器材や訓練要領等を定めず出場隊員の創意工夫のもと訓練想定から救助方法までを披露する「技術訓練」があります。
陸上の部は7種目あります。ロープ渡過の基本的訓練の「ロープブリッジ渡過(基礎訓練)」、ビルや地下街などで煙に巻かれた人を救出するための訓練の「ほふく救出(連携訓練)」、 建物や河川の中州などに取り残された要救助者を隣の建物等から進入し救出することを想定した「ロープブリッジ救出(連携訓練)」、地下やマンホール等での災害を想定した「引揚救助(連携訓練)」、 災害現場の様々な障害を想定した「障害突破(連携訓練)」、災害建物への進入など消防活動には欠かせない訓練の「はしご登はん(基礎訓練)」、 器材を使わずに登はんする訓練の「ロープ応用登はん(基礎訓練)」があります。
宮城県 仙台市消防局
福島県 須賀川地方広域消防本部
岐阜県 加茂消防事務組合消防本部
石川県 津幡町消防本部
群馬県 館林地区消防組合消防本部
岩手県 盛岡地区広域消防組合消防本部
北海道 登別市消防本部
福井県 嶺北消防組合消防本部
新潟県 阿賀野市消防本部
和歌山県 串本町消防本部
京都県 宇治市消防本部
鹿児島県 出水市消防本部
長野県 佐久広域連合消防本部
広島県 広島市消防局
岡山県 津山圏域消防組合消防本部
沖縄県 本部町今帰仁村消防組合消防本部
千葉県 安房郡市広域市町村圏事務組合消防本部
香川県 仲多度南部消防組合消防本部
三重県 鈴鹿市消防本部
茨城県 常陸大宮市消防本部
大分県 竹田市消防本部
東京都 東京消防庁
長野県 佐久広域連合消防本部
大阪府 大阪市消防局
京都府 宇治市消防本部
長野県 上田地域広域連合消防本部
兵庫県 尼崎市消防本部
神奈川県 鎌倉市消防本部
岡山県 高梁市消防本部
大阪府 和泉市消防本部
北海道 恵庭市消防本部
鹿児島県 大隈肝属地区消防組合消防本部
東京都 東京消防庁
千葉県 四街道市消防本部
埼玉県 上尾市消防本部
広島県 東広島市消防局
北海道 とかち広域消防局
愛知県 田原市消防本部
長野県 佐久広域連合消防本部
沖縄県 比謝川行政事務組合ニライ消防本部
岩手県 久慈広域連合消防本部
鳥取県 鳥取県東部広域行政管理組合消防局
群馬県 前橋市消防局
大阪府 大阪市消防局
福島県 喜多方地方広域市町村圏組合消防本部
熊本県 天草広域連合消防本部
愛知県 西尾市消防本部
千葉県 成田市消防本部
大阪府 枚方寝屋川消防組合消防本部
神奈川県 横浜市消防局
埼玉県 入間東部地区消防組合消防本部
大阪府 大阪市消防局
青森県 八戸地域広域市町村圏事務組合消防本部
北海道 札幌市消防局
鹿児島県 鹿児島市消防局
千葉県 成田市消防本部
日々積み重ねてきた訓練の成果を存分に発揮
日頃の救助訓練や自身の体力練磨に加え、毎年開催されるこの全国救助大会に向け、日々トレーニングに勤しむ隊員たち。 個々の訓練成果と仲間との連携が結びつき、強い絆で結ばれた隊員たちが結集しその力を発揮します。
青森県 八戸地域広域市町村圏事務組合消防本部と神奈川県 大和市消防本部
両チームは障害突破で同じ3組目のとなり同士で闘った。
訓練終了後お互いの健闘をたたえあう姿が印象的だった。
最後に
上記レポート内でもふれましたが、赤城工業では東日本大震災が発生した直後の2011年5月に仙台市消防局若林消防署へお伺いし、被災地の消防隊員の方々を取材をさせていただいております。 ( 「被災した隊員からのメッセージ」はこちらからご覧ください) 取材をした者として、今大会が被災地である仙台・宮城で開催されることを大変嬉しく思うとともに、開催地による支援者への感謝のメッセージが大会の随所にあらわれておりとても感激いたしました。 今後とも仙台・宮城のさらなる復興を心より祈念しております。