第44回 消防救助技術 関東地区指導会 埼玉県
関東地区内10都県の地区予選を勝ち抜いて集結した選手たち
平成27年7月17日(金)、最高気温約29度、湿度約70%のコンディション。台風の影響で時折強い雨がふる中、埼玉県入間東部地区消防組合東消防署において第44回消防救助技術関東地区指導会(以下関東救助大会)がおこなわれました。
関東地区内10都県(群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県)の187消防本部から、各地区予選を勝ち抜いて出場した隊員約700人が集結し、8月29日(土)に神戸市で開催される全国大会出場を目指しました。
関東救助大会とは、救助技術の高度化に必要な基本的要素を練磨することを通じて、消防救助活動に不可欠な体力、精神力、技術力を養うとともに、競い、学ぶことを通じて、他の模範となる消防救助隊員を育成し、市民の消防に寄せる期待に力強くこたえることを目指し毎年開催されています。
安全確実性と所要時間を競いあう
関東地区指導会で行う訓練は、陸上の部と水上の部に分かれており、隊員ひとりひとりが基本的な技能を練磨する「基礎訓練」と、隊員個人の技能とともに隊員間の連携を練磨する「連携訓練」から成ります。訓練内容は陸上の部3種目、水上の部7種目にわけられます。
陸上の部3種目には、要救助者を隣の建物等から進入し救出することを想定した「ロープブリッジ救出(連携訓練)」、地下やマンホール等での災害を想定した「引揚救助(連携訓練)」、災害現場の様々な障害を想定した「障害突破(連携訓練)」があります。
また水上の部7種目には、水難救助の基本的な泳法を習得するための「基本泳法(基礎訓練)」、水中の行方不明者の捜索を想定した「複合検索(基礎訓練)」、溺者を搬送する「溺者搬送(連携訓練)」、数人の要救助者の救出を想定した「人命救助(連携訓練)」、水中におけるロープの結束技術を習得するための訓練「水中結束(連携)」、浮輪にて要救助者を確保する「溺者救助(連携訓練)」、水中で溺れている要救助者を水面へ引揚げ救助する「水中結束救助(連携訓練)」があります。
日々積み重ねてきた訓練の成果を存分に発揮
日頃の救助訓練や自身の体力練磨に加え、毎年開催されるこの救助大会に向け、日々トレーニングに勤しむ隊員たち。個々の訓練成果と仲間との連携が結びつき、強い絆で結ばれた隊員たちが結集しその力を発揮します。 今年も全国大会にむけ、救助大会の熱い夏がはじまりました。
陸上の部技術訓練は、群馬県内11消防本部で構成される「群馬県消防長会警防担当課長会議救助部会員」により行われました。訓練テーマを「震災に伴う救助活動」と設定し、地震により土砂災害が発生、建物内に土砂が流れ込み2名が取り残されており更に、倒壊した建物の瓦礫内に1名逃げ遅れ者がいることが想定されています。部隊は高所活動隊と低所活動隊の2隊に分けられました。高所活動隊は、建物屋上から斜めブリッジ線を展張し、低所活動隊は、倒壊した建物の瓦礫内から三連はしご等の資器材を活用し、要救助者を安全な場所へ救出します。今回は資機材調達を視野に入れ、人力による支点を活用するなど、従来の救出法にとらわれることなく、安全・確実な救助活動を展開しました。