平成26年度 緊急消防援助隊 関東ブロック合同訓練 静岡県
静岡県では初開催となる、関東ブロック合同訓練
平成26年11月5日(水)から6日(木)にかけて、静岡県浜松市総合水泳場トビオ周辺をはじめとする静岡県内35ヵ所で大規模な、緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練が行われました。緊急消防援助隊は平成7年の阪神淡路大震災を教訓に、国内で発生した地震等の大規模災害における人命救助活動等をより効果的かつ迅速に実施し得るよう、全国の消防機関相互の援助体制を構築するため平成7年6月に創設され、平成26年4月現在、全国では4,694隊が登録されています。平成23年3月の東日本大震災では、被災3県を除く44都道府県(過去最大規模)の緊急消防援助隊が被災地で消防活動に従事しました。
緊急消防援助隊地域ブロック合同訓練は、「緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画」に基づき、緊急消防援助隊の技術及び連携活動の向上及び実践的な訓練を通して緊急消防援助隊相互の連携強化を図ることを目的に、平成8年度から毎年度全国6ブロックで実施しています。
平成26年度の関東ブロックは、1都9県(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・長野県・静岡県)からなり、静岡県では初開催となります。
消防力劣勢下の想定のもと行われた、津波による広範囲災害対応訓練
今回私達が取材させていただいたのは、メイン会場となる静岡県浜松市総合水泳場トビオ周辺で行われた「津波による広範囲災害対応訓練」です。訓練概要は「津波により広範囲に多種多様な被害が発生、消防力劣勢下での活動」「関係機関と協力した現地合同指揮所での活動統括」と設定されており、高さ4~5メートル程の土砂が幅数十メートルにも渡って盛られた現場に、津波に巻き込まれた事が想定された車両が13台埋められると同時に要救助者が多数生き埋めになっていることが想定され設定されていました。
「消防力劣勢下」とあって、現場にかけつけた救助隊員は少なく、数少ない人員でいかに救助活動を迅速におこなうかが訓練の鍵となっているようです。多数の要救助者をかかえながら、ひとつひとつの救助活動を迅速に正確に行う事以外なく、その訓練は淡々と行われていました。
30分~1時間ごとに、山梨県隊・航空自衛隊・さいたま市消防局救助隊・群馬県隊・静岡県警緊急援助隊・陸上自衛隊・静岡DMATなど各地から応援隊員が次々と駆けつけます。そして最後には各サブ会場での活動を終えた都県隊がローテーションで会場入りをしました。
各部隊との連携訓練
通常別々に訓練・行動している各部隊との連携も、このような合同訓練の場では鍵となります。消防・警察・自衛隊をはじめとする救助隊はもちろんのこと、医療機関や建設業協会など各機関との連携訓練もされます。
ひとつの現場に注目しました。泥沼の中で大破した車両に閉じ込められた要救助者を救出する現場です。車両の中には運転手を含む2名の要救助者が閉じ込められています。5人の消防隊員がまずは運転席の意識のある要救助者を救出するため、油圧スプレッターでドアをこじ開けます。車両が大破しているため要救助者は複雑に挟まれていますが、それを丁寧かつ迅速に救出します。安全な場所へと移動させた後、素早く後部座先に閉じ込められた要救助者の救出作業に入ります。1人の隊員が救出された要救助者に医療機関が到着するまでの間声かけをするため、救助に携わることのできる人数は4人となりました。数少ない人員で手際良く後部座席の要救助者を救出します。2人目も無事救助されたところで、ほどなくして警察の緊急援助隊が到着しました。救出されたふたりの要救助者は警察の緊急援助隊へとひきつがれ、医療機関のDMATへと託されます。
また一方の現場では航空自衛隊と消防隊員が土砂で埋もれた車両の中からの救出活動が連携プレーで行われています。このような実際の現場でしか体験できない各機関との連携は合同訓練の最大の特徴といえるでしょう。