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航空自衛隊 航空救難団 

航空自衛隊の中の航空総隊に隷属し、自衛隊機の墜落事故などが発生した際、 その機体・乗員の捜索、救助活動を主たる任務とする一方、救助要請(災害派遣要請)にも対応し直ちに活動を開始する『航空自衛隊航空救難団』。 その救難錬度の高さから「最後の砦」と形容される。

 

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊   

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊航空自衛隊 航空救難団 百里救難隊

難易度の高い、雪上での離着陸―――
雪国ならではのスキー装着訓練を取材した。

御嶽山でも実践投入されたCH-47Jの降着用スキー

三沢ヘリコプター空輸隊が所属する三沢基地は青森県南東部に位置し、航空自衛隊唯一の日米共同使用航空作戦基地であり、地理的、能力的にも北部防衛の要石として知られる。その三沢基地で輸送任務に従事する同隊で毎年、積雪期に行われているスキー装着訓練を取材することができた 訓練は、隊の保有航空機である輸送ヘリコプターCH-47Jの車輪に専用のスキーを履かせ、整地されていない雪上で安全に離陸及び着陸ができるようクルーの練度を高める為に行われている。昨年の木曽御嶽山噴火に伴う捜索救助活動では陸上自衛隊のCH-47Jがこのスキーを装着し、降り積もった火山灰の上で離着陸を行った。あらゆる場面を想定し普段から訓練を行っているからこそ発案できたアイデアである。
ではヘリの降着用スキーとは一体どのようなものか?装着訓練はどのように行われているのか?パイロットの吉田3佐、國分3佐、ロードマスター(空中輸送員)の柳田1曹に話を伺った。

案内されたのは格納庫に駐機されているLR型CH-47Jである。この機体はエンジンが改良され従来機よりパワーが向上しており、機首下部にはカメラが装備されている。現在航空自衛隊が保有するCH-47Jの中で最も装備が充実している機体とのことだ。
この最新の機体に降着用スキーが装着されていた。前後合わせて4箇所の車輪にそれぞれ1台ずつスキーを履いていて、スキーは車輪にはめ込むように装着され、専用のワイヤーなどで車軸にしっかりと固定されている。スキーの装着は機体をジャッキアップして行われ、整備員8名がかりで数時間を要する。実動訓練は、三沢基地よりも積雪の多い北海道南西部にある八雲分屯基地まで移動して行われる。

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊

スキーを履いて飛行するCH-47J(航空自衛隊航空救難団より提供)

巻き上がる雪の中での機体コントロール

訓練でパイロットの國分3佐が特に気をつけているのは、ローターのダウンウォッシュで雪が巻き上がり、視界が悪くなる中でもしっかりと機体の姿勢を保持し安全に離着陸を行うことである。かつて訓練中にホワイトアウトのような状況に陥りヒヤリとした経験があるので雪の巻き上げに関しては細心の注意を払っているという。
また、整地されていない深い雪の上に接地するのは独特な感覚で、水面に降りるかのような感覚らしい。そんな不安定な条件下でも機体が斜めにならないようつとめている。
一方、ロードマスターの柳田1曹が訓練中に注意しているのは、スキーや足回りに雪が付着したまま離陸して航行すると雪の不時落下の原因となる。万が一雪が付着していた場合は機長へ報告し、一旦着陸しこれを除去する。全ての行程においてロードマスターはスキーの装着状態を逐一確認し、常に安全な状態が保たれていることを確認する。
年一度の希少な訓練の中で隊員達は各々がしっかりとスキルを高められるよう強い目的意識をもって訓練に臨んでいるということがわかった。

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足周りについた雪をかくロードマスター(航空自衛隊航空救難団より提供)

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車輪に装着されたスキー

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊

格納庫で機体を案内してもらう

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊

ダウンウォッシュではげしく巻き上がる雪(航空自衛隊航空救難団より提供)

【隊員インタビュー 】

・CH-47Jの操縦の醍醐味は?
吉田3佐―(CH-47J操縦士)
「多用途で一度にたくさんの荷物、人を運ぶことができ 次から次へと任務を行うことができるので達成感を強 く感じます。また、シングルローターに比べタンデム はパワーがありダイナミックなところが好きです。」

・パイロットになったきっかけは?
國分3佐―(CH-47J操縦士)
「中学生だった頃、千歳の自宅で北海道南西沖地震を経 験しました。その時、近くの千歳基地からたくさんの 航空機が災害派遣で飛んで行くのを見て、自分も何か 役に立てることはないかと考え、結果パイロットの道 を選びました。当時、叔父が航空自衛隊の救難員とい うこともあったので、それも影響したと思います。」

・ロードマスターという仕事のどこにやりがいを感じますか
柳田1曹―(空中輸送員)
「災害派遣で出動した際、救出した民間人の方々から笑 顔でありがとうと声をかけられました。それからは、厳しい訓練も任務もその笑顔に繋がると思うと、全てにや りがいを感じています。」

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パイロットの吉田3佐(左)、國分3佐

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ロードマスター柳田1曹

航空自衛隊 航空救難団 三沢ヘリコプター空輸隊の皆さま、取材へのご協力ありがとうございました。

 
 
 
 
 
 
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