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航空自衛隊 航空救難団 

航空自衛隊の中の航空総隊に隷属し、自衛隊機の墜落事故などが発生した際、 その機体・乗員の捜索、救助活動を主たる任務とする一方、救助要請(災害派遣要請)にも対応し直ちに活動を開始する『航空自衛隊航空救難団』。 その救難錬度の高さから「最後の砦」と形容される。

 

航空自衛隊 航空救難団 秋田救難隊   

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分屯基地だからこそ培われる、より強い団結力。
隊長のもと一丸となって任務に励む秋田救難隊を取材した。

総勢約200名の大所帯

東北、日本海側の航空救難態勢の充実を図るため、航空自衛隊三沢基地の分屯基地として昭和62年に開設された秋田分屯基地。配置部隊は秋田救難隊と三沢気象隊秋田気象班である。他の基地に所属する救難隊は80名程度で編成されているのに対し、ここ秋田救難隊は約200名の隊員で編成されている。ここでは救難隊長が分屯基地司令を兼務し、救難隊の指揮下に補給や警備、会計、施設管理などを行う基地業務小隊も所属しているためだ。
他の救難隊は大きな基地の中に所属する一つの部隊として任務を行っているのに対し、秋田救難隊(と新潟救難隊)だけは、救難隊が基地業務を運営しながら救難任務を行っている。その為、一人一人の顔が見え隊員間の横のつながりは強く、仕事を行う上でとてもよい環境にあると言える。

航空自衛隊 航空救難団 秋田救難隊

日本海の厳しい気象条件

救難隊が所在する基地等の中で秋田は最も積雪が多い基地等であり、雪捨て場には5月の大型連休を過ぎてもなお雪が残っていることも珍しくない。雪質はベタっとしていて重く、勤務する隊員を悩ませる。今回取材した5名のクルーの中には秋田出身の隊員はおらず、雪とあまり縁のない静岡や宮崎などからの出身者、彼らにとってはこの雪の上を歩くだけでも一苦労である。
また、この辺りは雷の発生回数が多く、特に秋から冬にかけての冬季雷の発生回数が非常に多いという。余談ではあるが、11月から12月にかけてが漁期となる秋田県の名産「ハタハタ」という魚の漢字表記は魚へんに雷と書く。この地域と雷とは昔から密接な関係があるのだということがよくわかる。

航空自衛隊 航空救難団 秋田救難隊

悪条件下でも迅速に救難活動が行えるようUH-60Jの中にはびっしりと資器材が搭載されている

このように、秋田といえば冬の厳しい気象条件を真っ先に思い浮かべるが、その中で日夜任務を行っている秋田救難隊クルーはどう感じているか、クルーに話を聞いてみた。

松田1尉―(救難機UH-60J操縦士)
「吹雪と雷というパイロットにとって最も難しい気象条件が揃った厳しい場所ですが、その分、技術や判断力が磨かれ救難技術の向上に繋がる任務地だと思います。」

岡嵜2尉―(救難捜索機U-125A操縦士)
「秋田の特徴と言えばとにかく雪が多いこと。しかし三沢基地を親基地とする秋田分屯基地には気象レーダーが設置されておらず、三沢基地や隣の秋田空港から気象情報を入手している。気象レーダーがないというのはフライトをする上ではとてもシビアな環境であり、不利な部分は自身の能力でカバーするしかない。」

後藤2曹―(機上整備員)
「雪の中のフライトでは航空機の翼についた雪を溶かす為アンチアイスシステムという機能を作動させます、そうすると航空機の使用パワーが大きくなり燃料計算が変わってきます。その為、遠距離洋上任務などでは特に計算が難しくなるので、より集中して任務を行っています。」

※アンチアイスシステム…温風により、着氷しやすい場所を飛行する航空機の翼に、雪や氷がつかないようにする機能のこと。

床次3曹―(機上無線員)
「気象レーダーがないので上空の状況をいち早くキャッチし、クルー及び指揮所等に対し、より正確で迅速な情報伝達を心がけています。」

中原3曹―(救難員)
「厳冬期には鳥海山などで訓練を行いますが、冬の鳥海山といえば天候が安定する日が少なく冬期登頂が難しい山としても有名です。そこで吹雪ともなると視界はほとんどゼロとなりGPSの液晶が見えなくなることもありますので、吹雪の中では一瞬の判断力が特に重要になります。」

分屯基地であるがゆえ

自隊で多くのことを自己完結できるという利点がある一方で、自隊だけで全てを賄うには大変なこともある。その良い例が基地内の除雪である。
これだけの豪雪地でありながら自隊の人員のみで除雪を行うというのはかなり大変な作業である。いざ任務が付与されても滑走路に雪が積もったままでは、U-125A捜索機が飛び立てない。そのため隊では、少ない人員を効率的にフル活用するなどして除雪開始から約1時間で作業を終わらせられるよう努めている。その迅速な除雪能力は隊員達の自慢でもある。
取材を通じて感じたことは、ここの隊員達は、自分達の隊が中心となって分屯基地を運営しているということに大きな使命感と誇りを持ち、その思いによって一つにまとまっているということだ。隊長のもと一丸となって任務を遂行する強い団結力、それが秋田救難隊ファミリーの特色である。

航空自衛隊 航空救難団 秋田救難隊

今回取材に応じてくれた5名の救難隊クルー。左からメディックの中原3曹、固定翼機パイロット岡嵜2尉、
回転翼機パイロット松田1尉、機上無線員の床次3曹(現 新田原救難隊)、機上整備員の後藤2曹。

中原3曹は休日も体を動かすことが大好きで野球やサッカーなどスポーツが趣味。岡嵜2尉は夏は釣り、冬はスノーボードを楽しむ。松田1尉はお祭り好きで祭りの多い東北では楽しみが多い。床次3曹はサッカーが趣味で基地外のフットサルチームに所属し、地域住民の方々と接することで様々な刺激を受け任務の糧としている。後藤2曹は釣りやサイクリング、スノーボードなどが趣味。オフの日の過ごし方は皆さまざまだが、任務では厳しい秋田の自然も休日には楽しみのひとつに変わる。

航空自衛隊 航空救難団 秋田救難隊の皆さま、取材へのご協力ありがとうございました。

 
 
 
 
 
 
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