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航空自衛隊 航空救難団 

航空自衛隊の中の航空総隊に隷属し、自衛隊機の墜落事故などが発生した際、 その機体・乗員の捜索、救助活動を主たる任務とする一方、救助要請(災害派遣要請)にも対応し直ちに活動を開始する『航空自衛隊航空救難団』。 その救難錬度の高さから「最後の砦」と形容される。

 

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

宮崎県の県庁所在地である宮崎市の中心地から約18km北に位置する新田原基地。 日本で唯一、Fー15戦闘機のライセンス付与を行っている飛行教育航空隊などが所在し、西空エリア防空の一端を担っている。 今回は同基地で任務に励む新田原救難隊を取材した。

戦闘機からヘリコプターへの転換

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

エプロンにて飛行前点検を入念におこなう

パイロットの布目1尉と黒崎2尉に案内され、まずはエプロンへと向かう。そこでは救難機UH-60Jの飛行前点検が行われていた。機長、操縦士、機上整備員の3名で機体の隅々まで入念にチェックする。ちょうどこの日は戦闘機F-4EJからUH-60Jへ機種転換するパイロットの2日目の転換教育を実施しているとのこと。通常だと10分程度で終える飛行前点検を20~30分かけ、時折説明を交えながら行っていた。同じ航空機とはいえ操縦方法から性能までまったく違う戦闘機からヘリコプターへの転換は熟練のパイロットであってもかなり難しい道のりである。最初はヘリの基本操縦であるホバリングから訓練する。ここから程近い高鍋沖上空にて基本訓練を行うようだ。我々を案内してくれた黒崎2尉もT-7、T-400の操縦課程を経てこの新田原救難隊へ配属されてからまだ2年が経過したばかりだ。緊張しながら教育を受けているパイロットの様子を見て、気持ちがよくわかりますと語っていた。

ミッションでも使用した電動カッター

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

実際のミッションで使用した電動カッター

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

整然とならび、出番を待つ資器材

エプロンを後にし、救難器材庫へと移動、メディックの川瀬2曹に案内してもらった。
どこの救難隊へ案内されても数多くの資器材が整然と保管され、緊急発進がかかればただちに出動できるようわかりやすく配置されているが、ここの保管庫は特にわかりやすく配置されているように感じた。壁一面を利用し小さめの棚が格子状に並んでいるシンプルなものだが、素人の私でも物の型番と数量を指示されれば、すぐに集められそうな印象を受ける。このような些細な工夫もメディックの役割の一つである。新田原救難隊の普段の訓練内容としては、月に2、3回程度行われる尾鈴山での山岳訓練や、日南市にある栄松ビーチキャンプ場付近での潜水訓練などがある。

昨年2月に発生した海上自衛隊の練習機が宮崎県えびの市の山中に墜落した事故では新田原救難隊だけではなく芦屋救難隊からも出動し、悪天候下での捜索活動から翌日の搭乗員発見と病院への搬送まで活動を行った。 その時、山中での搬送に使用したという電動カッターも見せてもらった。<br> 現場上空からこの電動カッターを背負って救難機から降下し、足場の悪い斜面を下り現場へと向かったという。持ってみるとずしりと重く、ショルダーハーネスは登山用ザックのようにしっかりとしたものではないので長く背負うと肩に食い込んでしまいそうだ。いつも手入れの行き届いたこれらの資器材や装備品は、やはり隊員と同じく即座に出動できるよう準備されている道具なのだとあらためて実感させられる。

はじめてのミッション

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊

誇らしげに救難隊の看板を掲げる黒崎2尉と川瀬2曹

先ほど話しに出た昨年2月に出動したえびの市でのミッションについて黒崎2尉と川瀬2曹の二人に更に話を聞いた。

・このミッションは何度目の出動でしたか?
黒崎2尉
「初めてのミッションでした。」
川瀬2曹
「自分も初めてでした。」

・初のミッションということで何か気構えなどはありましたか?
黒崎2尉
「初めてだから何か構えるということはなかったですが出動命令が出たときは天候が荒れていたので特に気をつけなければと思いました。」
川瀬2曹
「訓練で何度も行っていたので、気構えることや緊張することは全くありませんでした。元々大事な場面で緊張したりする性格ではないこともあり、普段の訓練どおり落ち着いて行動できたと思います。」

・今回のミッションで大変だったことは?
黒崎2尉
「上空から遭難現場を捜索している時、報道ヘリがとても多く飛んでおり、それらに接近しすぎないよう神経を集中しなければならなかったことです。」
川瀬2曹
「(同じく)報道ヘリが多すぎて無線も混信してしまうこともありました。報道も大切なことですが、捜索に集中できる環境作りをすることが今後の課題だと思いました。」

最後に、新田原救難隊の特徴を聞くと二人とも口を揃えて「行動力のある先輩が多く一緒に仕事をすると全てが勉強になります」と語っていた。宮崎県は日向時間などと形容されるようにのんびりとした風土で知られるが、ここの隊は行動力を武器に何事にも率先してチャレンジする隊員が多いと感じた。先輩を尊敬し多くを吸収しようと励む若手隊員の未来に期待が膨らむ。

航空自衛隊 航空救難団 新田原救難隊の皆さま、取材へのご協力ありがとうございました。

 
 
 
 
 
 
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