TOPページ >自衛隊レポート > file no.5 春日ヘリコプター空輸隊

航空自衛隊の中の航空総隊に隷属し、自衛隊機の墜落事故などが発生した際、その機体・乗員の捜索、救助活動を主たる任務とする一方、救助要請(災害派遣要請)にも対応し直ちに活動を開始する『航空自衛隊航空救難団』。
その救難錬度の高さから「最後の砦」と形容される。



福岡市の中心部からわずか10kmほど南方に位置する航空自衛隊春日基地は、西日本の防空の要として昭和34年の発足以来、この地域の空を守り続けています。基地には15個の部隊が配属されており、このうち春日ヘリコプター空輸隊、春日気象隊板付気象班、西部航空方面隊司令部支援飛行隊の3部隊は福岡空港内に設けられた自衛隊管理地区に所在しています。今回はこの、福岡空港内飛行場地区を訪問し、「出動せよ!救難」シリーズでは初となるヘリコプター空輸隊を取材しました。

航空救難団にはメディックが所属する救難隊のほかに、CH-47Jを使って様々な輸送を担当するヘリコプター空輸隊が全国に4ヶ所ある。今回取材した春日ヘリ空輸隊は隊員達の間では「ハルヘリ」という愛称で呼ばれており、CH-47Jが3機(取材時)と約60名の隊員が所属する部隊である。

輸送と一口に言ってもその活動は多岐に渡り、レーダーサイトへの物資端末輸送、人員の輸送、急患空輸、山林火災時における空中消火活動、被災地への救援物資輸送などがある。近年では災害派遣医療チームDMATの発達により、民間との連携を強化し、機内にDMATの医療器具を積み込んで、航行中に医療行為が行えるよう合同訓練なども実施している。

その他にも県主催の大規模な総合防災訓練で、空自のCH-47Jで救援物資を輸送し、着陸後の搬送を陸自隊員が行い、海自輸送艦にてヘリへの給油支援を行うなど陸海空自衛隊の連携強化を図る訓練も行われている。

このようにヘリコプター空輸隊は、その類まれな積載能力を活かして様々な輸送任務に従事している。




部隊を訪問すると、パイロットの内山隊員とロードマスターの中島隊員がCH-47Jの機内から案内してくれた。

まず機体を見て思ったのは、想像していたよりも遥かに大きいということだ。最大積載量は8tで、これは中型輸送機のC-1と同スペックである。ジープなどの車両なら2台、装甲車なら1台を積載可能で、定員はパイロット、機上整備員の他に55名まで搭乗することができる。
担架搭載の場合は、4段の担架を左右にそれぞれ3台ずつ搭載できるので、全部で24床にもなる。

早速キャビン内へ入るとパレットを搭載する為のローラーが敷かれており、搭乗席は壁面に格納されている。通常はこの状態が多いが、その時の任務内容によってロードマスターが逐一、搭載準備を行う。
ロードマスターは空中輸送員と呼ばれ、輸送に関わる業務を一手に担っている。貨物の積込み作業はもちろん、搭載貨物やパッセンジャー(乗客)の安全に気を配り、搭載物の重心計算をし、時にはホイストで地上に降下し、災害現場から要救助者を吊り上げたりと様々な任務にあたっている。

キャビン内を見終わると、内山隊員のレクチャーを受けながら、操縦席に座らせていただいた。大小様々なあらゆる計器が並び、席からの視界は意外に広い。ここから地上を眺めるのは、きっと素晴らしい気分だろうと思いを馳せてしまう。





この後、格納庫に移動し空輸隊の資器材を見学した。担架などの搭載貨物が積まれたパレット、空中消火用バケット、不時着水時の保命に使用する投下型救命浮舟などである。

消火バケットは折畳んで使用できるバンビバケットというものを採用しており、5,000もの水を汲むことができる。かつてはビックディッパバケットという大きなバケツのようなものが主流であったが、これは折畳むことができない上、重量も570kgとかなり重く、これを積み込むのは大変な作業だったと言う。

投下型救命浮舟は20名用で、平時は円筒形に収納されており、この状態で機内から水上に投下し窒素ガスで自動膨張する。浮舟内には20名の3食分の食糧や発炎筒、薬、包帯などが装備されている。

他にも事細かに、たくさんの事を説明していただいたが、限られたこのスペースでは書き切れず、また次回以降ヘリ空輸隊の回で詳しく紹介していきたい。救難隊とはまた違った角度から任務にあたるヘリコプター空輸隊。隊員も装備もスケールの大きいこの部隊の活躍から今後も目が離せないと感じた。
(2013.7)