自衛隊 航空 救難団 救難隊 メディック アクチャル アクチュアル
航空自衛隊の救難任務に携わる隊員は、アクチャル・ミッション(実任務出動)のことを簡略化して、アクチャル(アクチュアル)又はミッションといいます。
ここでは実際の任務出動の経験から学び取った事などを発信し、日々救助活動に邁進されている皆様の一助にしていただきたいと思います。
元航空自衛隊メディックK

元メディックの実任務出動の記録
アクチャル 01.<墜落セスナ機からの乗員2名の救出>


「樹林の中から何か光るものが一瞬見えた!!」
山中に墜落したセスナ機から2名の乗員を救助するに至った時の
捜索機搭乗員からの無線連絡の第一声であった…(昭和6×年9月某日)


自衛隊 航空 救難団 救難隊 メディック アクチャル アクチュアル
上空から確認した墜落現場




【遭難情報】
当該機はA県某飛行場からY県E市で人文字を写真撮影するため飛行場を離陸したが、間もなく無線の応答も途絶し、遭難した可能性がある。乗員数2名、機体の特徴、白色に黄色のラインが入っている。飛行場からは、天候が悪いのでT高速道路沿いに飛行すればE市に到達することができるとのアドバイスを受けている。


【捜索】
第一日目、救助機が飛行経路上のルート捜索に入ったが深い山々が幾重にも連なっている上、遭難予想地点の山頂部周辺は雲に覆われていた為、同周辺を除く限定的な捜索となり、この日は遭難者を発見することができなかった。


【発見】
第二日目、日の出と同時に一日目に捜索できなかった山頂部周辺を捜索機と救助機により重点的に捜索した結果、捜索機より「D峠東側斜面の樹林の切れ間から何か光るものが一瞬見えた」との連絡を受け、救助機が確認したところ、山腹に激突しているセスナ機と手を振っている元気な遭難者1名を発見した。


【救助】
近くにホバリングした救助機からメディック2名がホイスト降下して遭難現場に進出、この遭難者と合流した後、救助活動を開始した。当該機は両翼が折れ、胴体の一部(ノーズギア付近)は地中にめり込み、左のメインギアが樹木に引っかかった状態で急峻地に横転していた。機内の遭難者は、座席と外板に挟まれた状態で横たわっていた。二次災害(機体の横転)防止策を講じてから機内へと侵入し遭難者への声掛けと観察をした結果、脊椎骨折等の可能性があり重症と判断、メディックの増援と搬送器材(担架)を求む旨を無線連絡した。この間元気な遭難者に「昨晩は寒くなかったですか?」と質問すると、ぐしゃぐしゃにして腹部に巻いた地図を見せ「このようにしたから寒くなかった」と答えた。また、捜索機が見つけた光るものについて訊ねると、機内にあったカメラのストロボを照射したとのことだった。
約15分後、増援メディック2名が到着し、重症患者の機外搬送を開始した。3名が機内に入り患者の頭部・背部、臀部、足部をそれぞれ保持し、1名が全般統制、機外保持をして機外へ搬出した後、救助機で吊上げ収容をするため患者を担架へ縛着、約100m搬送し無事救助機に吊上げ収容をした。


自衛隊 航空 救難団 救難隊 メディック アクチャル アクチュアル
現場保存の参考のために記した概要図メモ


自衛隊 航空 救難団 救難隊 メディック アクチャル アクチュアル
機内の状況


【このミッションから得た教訓】

 救助機のコンパスで自機と遭難現場の一般方位角は掴んでいるが、ホイストで樹林地帯に降下すると、生い茂る木により遭難現場への方向や副目標が見えなくなるので、上空の救助機がホバリング移動で遭難現場までゆっくり誘導し、降下したメディックが後追いできるよう空地連携を活用すると良い。
遭難者が捜索機に向けてカメラのストロボを照射したことにより早期発見に繋がったことから、遭難情報入手段階で、詳細を分析し、遭難者が発する(可能性がある)自救信号を予測し捜索すれば、発見率が高まる可能性がある。


【今だから言えること】

 あまりにも遭難者が水分を欲しがるので、持っていた水筒を渡すと一気に飲み干してしまい、数分間震えが止まらなくなってしまった。また、内臓に損傷があることも考え、安易に水分の提供をすべきではなかった。
機内作業中「漏れた燃料が発火する可能性もあるので注意しよう」と隊員間で声掛けしたのを、遭難者が「発火する」と勘違いし、不安を抱かせてしまった。遭難者の特異な心理状態を考慮して慎重に声掛けするべきだった。


【レスキュー豆知識】

 難者は腹部に地図を巻き付けることで、寒さの中でも体力の消耗を防ぐことができた。
→腹部に巻きつけた地図の間に、団子状に丸めた紙を入れると空気の層ができてより保温力が高まる。

教訓にある通り、遭難者はカメラのストロボ照射によって早期に発見された。
→逆の立場で考えると、(鏡など)簡易的に光を放つものを携行していればいざという時に役に立つ。



※この企画は、実際に起こった航空救難、災害派遣 事例を題材としておりますが、
登場する人物、地名、団体名などは架空のものであり、実在のものとは一切関係がありません。




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